子どもと高齢者が共に過ごす

少子高齢化の中で広がっている取り組み

子どもとふれあううちに、自然と笑顔になったことがある人もたくさんいることでしょう。子どもたちの可愛らしい笑顔は人の心を優しくさせる効果があります。そのため、子どもと日常的に接することで高齢者の生きがいづくりや活力になるとして交流の機会を増やしている施設が、老人ホームなどの介護施設と子どもたちが通う保育園や学童保育が一体となった複合施設、「幼老複合施設」なのです。
高齢者ばかりがピックアップされがちですが、もちろん一緒に過ごしている子どもたちにも良い影響があります。高齢者とふれあうことによってマナーや思いやりが学べる、といった教育的効果があるため、幼老複合施設は高齢者と子ども、双方に良い影響を与えるとして注目を集めています。

少子高齢化の中で広がっている取り組み

保育園一体型スタイル

幼老複合施設といってもそのスタイルはさまざまです。一般的なのが保育園と介護施設が一体となった施設です。有料老人ホームの運営をはじめ、さまざまな介護事業を展開しているHitowaグループの「イリーゼ」では、保育園を併設している介護施設を運営しています。保育園や幼稚園の子どもたちが介護施設を訪問するのはよくありますが、それは行事の一環としての訪問です。それほど回数が多いわけではありません。ですが、保育園と介護施設が同じ場所にあるならわざわざ交流の機会を設けなくても日常的に交流できますし、いつも子どもたちの声が聞こえているため、穏やかで楽しい老後が送れるようになります。

学童保育一体型スタイル

近年、増えてきているのが学童保育と介護施設が一体となった施設です。学童保育とは小学生が放課後過ごす場所のことですが、共働き世帯が増えている今、学童保育不足が問題となっています。そこで、介護事業だけでなく教育事業にも力を入れているベネッセスタイルケアでは2014年に学童保育と介護施設が一体となった複合施設を開設しました。高齢者と小学生、世代を超えた交流によって未来を担う子どもたちがさまざまな体験を通して、これから先の社会で力強く生き抜く力を育んでいます。

介護士の確保につながる

高齢化がすすんでいる現在、介護人材不足が大きな問題となっています。介護の仕事は家事と通じる部分も多いため女性の割合が多いのですが、結婚や出産を機に退職する人も少なくありません。そのうちの5割以上は「介護職として働きたい」と思っていますが、子どもの預け先が見つからないなどの理由で働きたくても働けない状況です。ですが、保育園も一体となっている幼老複合施設であれば、子どもを預けながら同じ敷地内の介護施設で働くことが可能です。人材と確保したい事業所と子どもの預け先と働く場所を探している人にとって利益が一致するため、潜在介護士の確保が有利になるでしょう。