注意点はあるがメリットは多い

自治体にもメリットがある

高齢者と子ども、どちらにも良い影響を与える幼老複合施設ですが、自治体にもメリットがあります。既存の保育園に介護施設を併設したり、老人ホームに保育園を併設したりすることで少ない費用で幼老複合施設を開設できるため、財政難に苦しんでいる自治体にとっては費用の節約につながります。

自治体にもメリットがある

高齢者の生きがいになる

高齢になると体力が低下し持病も抱えてしまうため、外出するのが億劫になってしまいます。引きこもりになる高齢者も多いのですが、無邪気な子どもたちとふれあうことで自然に笑顔があふれ、能動的に行動するようになります。例えば、足腰が悪く普段杖を使っていて行動に消極的な高齢者が子どもたちの前では杖を使わない元気な姿を見せたい、と頑張った結果、運動量が上がり健康維持にもつながった、というケースもあります。また、子どもとのふれあいを通して生きる楽しみを見つけ、社会生活に参加するきっかけにもなります。

子どもたちの心が豊かになる

核家族化がすすむ現在、高齢者と日常的にふれあう機会はそれほど多くありません。ですが、幼老複合施設では日常的に高齢者と交流することができるようになっています。高齢者とのコミュニケーションによって、家庭では教わらないさまざまな知識やマナーが身についたり、高齢者に対する思いやりの気持ちが芽生えるようになります。小さなころから高齢者と接することによって身についたマナーや知識は大人になってからの社会生活でも役に立ちますし、高齢者を狙った犯罪の撲滅にもつながる可能性があります。

職員の負担が増加する

子どもは大人と違い、自ら判断して動くことには危険を伴うため管理が必要ですし、高齢者が常備している薬を誤飲するといった事故が起こる可能性もあります。また、高齢者と子どもは免疫力が低いため、インフルエンザのように感染力の強い病気は一気に拡大するリスクもあります。職員の負担を減らし、適切な介護や保育をするためには情報の共有や規則の整備など施設間の連携が欠かせません。

幼老複合施設が目指すものとは?

異世代の交流の場として数が増えつつある幼老複合施設にはこのようなメリットとデメリットがあります。ですが、今後も少子高齢化がすすみ、共生社会を目指す日本にとっては欠かせない施設になることも確かです。幼老複合施設の効果を高めるためにはどのような取り組みを行えばいいのでしょうか。実際に幼老複合施設を取材し、保育と介護の融合について取りまとめられている書籍を紹介するので参考にしてみてください。

介護と保育の世代間交流がどのような効果をもたらすのかを実際に世代間交流を行っている施設を取材し、その内容をまとめた一冊です。 世代間交流施設の挑戦 世代間交流施設の挑戦