可能性を模索中「たけのうち保育園・東淵野辺デイサービスセンター」

段階的に検証

2000年に相模原市からの依頼を受けて幼老複合施設を新設した、たけのうち保育園・東淵野辺デイサービスセンターでは、保育園とデイサービスの間に境界扉を設けてスペースを区切っています。開設1年目は行事での交流が中心でしたが、2年目には行事だけではなく工作やゲームなどの共同作業による交流も開始し、3年目以降は日常的な交流、段階を経た世代間交流を行いました。交流の回数も1年目は年に3回程度でしたが、2年目は月に1回程度、3年目以降は回数に制限を設けず、クラス単位で交流の時間帯を設定するなど、様子を見ながら徐々に回数を増やしていきました。

段階的に検証

子どもの年齢によって交流の内容を変更

これまでの経験から、4年目以降は子どもの年齢によって内容を変えて交流するようになりました。年長の場合は5 ~6人のグループで週1回のペースでデイサービスを訪問してレクリエーションやゲームで交流します。デイサービスのような通所介護は、曜日によって利用者が異なることが多いため、子ども側の参加者を曜日ごとに固定するなどして、同じ組み合わせになるように配慮しているそうです。その際にお互いに名札をつけて、顔だけではなく名前も覚えられるようにしています。
一方、年中以下の小さい子どもたちは保育士がデイサービスに年に2~3回連れていく形をとっています。ゲームの内容を理解できない年齢の子どももいるため、会話やスキンシップでの交流が中心となっています。

どのような効果があるのか

開設当初は交流会に参加しているような感覚でしかなかった子どもたちも、2年、3年と経つうちに高齢者と顔見知りになり、当初よりも近い距離で積極的に交流するようになりました。また、年長にもなると高齢者の置かれている状況もきちんと理解できるようになるため、どのように接すればいいのかを考えながら自ら行動するようになります。その結果、離れて暮らしている祖父母に対してもいろいろな面で配慮できるようになったそうです。
また、高齢者も子どもと接することで孤独感が減少して感情が豊かになった、子どもとのふれあいがきっかけで継続的にデイサービスに通うようになった、といった効果がでています。

子どもが苦手な高齢者の対応

子どもとの交流は高齢者にも良い影響を与えますが、すべての高齢者が子どもとの交流を望んでいるわけではありません。中には子どもが苦手な人もいます。そのような人にとって子どもとの交流は苦痛にしかなりません。その場合は無理に交流を促すのではなく、個別に対応していく必要があります。施設の利用日に配慮したり、高齢者だけのグループを用意するなどして対応していきます。