福祉の街を象徴する「ユーカリ優都会」

自治体と民間企業が共同で作り上げた福祉の街

千葉県にあるユーカリ優都会は介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、そして学童保育の4施設からなる複合施設です。千葉県佐倉市が提唱する福祉の街づくりの事業の一環でもあり、施設があるユーカリが丘一帯が福祉の街になるように計画されました。この事業は今から50年近く前から少子高齢化対策のために計画されたものです。専門のエリアマネジメントグループが独居高齢者対策を中心に、ユーカリが丘地域に住む7,000世帯を直接訪問して未来を見据えた街づくりを実施しています。
ニュータウンと呼ばれ人であふれていた街は今、全国的に人口減少の一途をたどっています。しかし、子育て支援と高齢者支援に力を入れているユーカリが丘では年々人口が増加しています。
ユーカリ優都会では、敷地内にグラウンドゴルフ場や子どもたちが走り回れる広場、動物とふれあえる広場や季節の花々が咲き乱れるフラワーガーデン、ハーブが楽しめるフィーリングガーデンや野菜の栽培ができるキッチンガーデンなど、世代を問わずに四季の自然を楽しめる施設を設けて多世代の交流を促しています。

自治体と民間企業が共同で作り上げた福祉の街

ユーカリ優都会の原点

核家族化がすすみ独居高齢者が増加している今、認知症の人が1人で暮らしているのも珍しいことではありません。しかし、認知症の人が1人で暮らしていると社会から疎外されるだけではなく、生命や財産に危険がおよぶ可能性もあります。それを防ぐには多世代が交流できる施設があればいいのでは、との想いが幼老複合施設を建設するきっかけでした。

子どもとの交流が認知症の症状悪化を防ぐ

認知症の症状には暴言や暴力、妄想などがあります。これは理性で抑えていた感情が判断力や認知機能の低下によって抑えきれなくなるからです。職員や他の利用者を理不尽に怒ったり怒鳴ったりするため社会生活がうまくいかず、孤独になりがちです。しかし、幼老複合施設にはこういった症状の悪化を防止する効果もあります。
暴言や暴力といった認知症の周辺症状が目立っていた人も子どもに理不尽な怒りを向けることはほとんどありません。これは「子どもには怒らない」という理性が残っているからです。子どもへの暴言がない状態が維持されているということは、周辺症状が悪化せず現状を保っている、ということです。高齢者が子どもと幼老複合施設で一緒に過ごすことは認知症に一定の効果がある、と考えていいでしょう。
また、幼老複合施設で他の世代と交流することによって、高齢者が生きがいを持ち、自尊心も生まれた、という結果もあります。認知症の家族を抱えている人は一般的な高齢者のみの介護施設だけではなく、幼老複合施設も検討してみることをおすすめします。